沖縄の怪奇物語

沖縄ツアーで人気のある沖縄に昔から伝わる民話、「鮫どんとキジムナー」です。


あるところに鮫どんという釣り好きの男がいました。


釣りのうまい鮫どんの元にある夜、なぞの小柄な男がやってきて、大量の魚を釣ってそれを鮫どんにわたしていきます。


なぜ漁をするのか、しなくてはいられないのか、よくわからないのですが、あの小柄な男は毎晩のように鮫どんが漁する場所にあらわれました。


前の日に「明日はどこへ」といわなくても、不意に漁場をかえることがあっても、いつもふっと気配がすると、そこに小柄な男の細い影がありました。


鮫どんは、すっかり漁の呼吸を覚えた小柄な男と、肩を並べて魚を釣りました。


こちらがしたいと思うことをすぐわかってくれ、うまく助けてくれる得難い友人を得たのです。


こんなにぴったり呼吸の合う人はめったにいません。


日がたち、月がかわるにつれて、二人はむつまじくなり、何でも話し合える間柄になりました。


ところが、鮫どんが何度たずねても、男はその名や住まいを明かしません。


ただ、透き通るような声で笑うだけです。


鮫どんは「ふしぎだな。そういえば何も彼も」と思いだしました。


ふつうの男の声とはまるっきりちがう風のような声、見る角度によってはまだ十代の若さにみえるかと思うと、白髪にふさわしい老人の表情にも見える顔、影のような姿はすばやく動くのに男の足音を聞いた覚えがありません。


「あ、あの男はひょっとしたら人間ではなくて鬼かもしれない。


魔物が人の形になっているのかもしれない。


このまま長くつき合っていたら、どんな危害をうけるかわからないぞ」


ぞおっと総毛だった鮫どんは、とうとう心を決めて、漁が終って男の帰ってゆくあとを、そっとつけてゆきました・・・。


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